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2010/03/03 (Wed) 一年前のはなし

その日も灰色の空だった。
冷たく、厳しく吹く北風に脅され、心臓は激しく打っている。
彼女は顔を強張らせながら、自分が座るべき席を探していた。
周りは知らない顔ばかりで、そして全員自分より頭が良く見えた。

ようやく自分の受験番号が書いてある席を見つけると、ひとつため息をついて座った。
たぶん、わたしも外から見たら頭が良く見えてるはず…
そう思った彼女は眼鏡を指で押し上げ、周りをひと睨みし、自分を落ち着かせた。

まもなく試験監督が教室に入ってきた。
そして彼女の前に問題用紙が配られる。
…これで、決まる。
落ち着かせたはずの心臓がまたドクドクと体の中で響く。
開始のチャイムとともに、彼女はすぅ、と息を吸い込み、使い慣らしたシャーペンを手に取った。

一問目の問題を読み、その解法が頭に浮かんできたとき
…あぁ、分かる。大丈夫。
彼女の緊張は解け、体が一気に熱くなった。

そう、この感じ。アドレナリンが効いてる感じ。解いていくことへのただ純粋な快感。

気付けば時間は終了間近になり、彼女の解答用紙もほとんどが埋まっていた。
1分前、時計を確認した彼女はペンを置いた。
熱くなった体はなかなかその熱を逃がさなかった。

終了のチャイムがなり、解答用紙が回収されていく。
ふと、彼女はとなりの男子学生の解答用紙を見た。
彼の1枚目は真っ白であり、本人は青くなり震えていた。

…勝った。

その瞬間、彼女は自分の合格を確信し、誰にも気付かれないようこっそりと笑みを浮かべた。
いや、隣の彼には見えていたかもしれない。

空は相も変わらず灰色であった。
きっと、わたしはもう一度ここに来る。
しっかりとした足取りで、彼女は大学の門を出た。

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音乃 悠

Author:音乃 悠


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